• Skip to main content
  • Skip to primary sidebar
  • Skip to footer
  • トップ
  • 人文学・社会科学
    • 言語
      • ドイツ語
      • ロシア語
    • 歴史
      • 歴史年表
      • 神話学
    • 医学・人体
    • 技術、工学
    • 情報技術
      • HTML
      • Python
    • 芸術・文化
      • 音楽
  • 自然科学
    • 化学
Vita Otiosa - ヴィータ・オティオーサ

Vita Otiosa - ヴィータ・オティオーサ

知の愉悦を静けさの中に。

効率的市場仮説とは何か―ランダムウォーク理論・行動ファイナンス・テクニカル分析まで

最初の投稿日: 2026年1月28日 / 更新日: 2026年1月28日 /本ページはプロモーションが含まれています。

株式市場は本当に予測不可能なのか。
この問いに対して、長らく金融学の中心的な答えであり続けたのが 効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis, EMH) である。

本記事では、

  • 効率的市場仮説の内容と前提
  • ランダムウォーク理論との関係
  • 現代ファイナンス理論での位置づけ
  • リーマンショック以降に生じた疑問
  • 行動ファイナンスとの対立
  • テクニカル分析との関係(ユール・スルツキー効果)

までを、誤解の多い点を整理しながら解説する。


効率的市場仮説とは

効率的市場仮説は、ユージン・ファーマ によって体系化された理論であり、
彼はこの業績により 2013年にノーベル経済学賞 を受賞している。

仮説の核心

市場価格には、現時点で利用可能なすべての情報がすでに織り込まれている

つまり、

  • 公開情報
  • 過去の価格情報
  • 企業の財務情報

などを用いても、継続的に市場平均を上回る超過リターンを得ることはできない、という考え方である。


なぜ「市場は合理的」とされるのか

効率的市場仮説の背後には、以下の前提がある。

  • 情報は速やかに市場参加者に共有される
  • 裁定(アービトラージ)が働く
  • 明らかな歪みは即座に修正される

この結果、

価格は常に合理的な水準に調整される

と考えられる。


ランダムウォーク理論との関係

効率的市場仮説から導かれる重要な帰結が ランダムウォーク理論 である。

基本的なロジック

  • 市場に織り込まれている情報 → すでに価格に反映済み
  • 価格が動くのは → 事前に予測できない新情報が出たときのみ

したがって、

価格変動はランダムであり、予測不能

という結論に至る。

この考え方を一般向けに広めた代表的著作が、バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』である。


正規分布とリスクモデル

ランダムウォーク理論は、多くの場合、

  • 価格変動は 正規分布 に従う
  • 変動幅と頻度は安定的である

という仮定を伴う。

この仮定は、

  • オプション価格理論(ブラック=ショールズモデル)
  • リスク管理(VaR など)
  • ポートフォリオ理論

といった 現代ファイナンス理論の中核モデル の前提条件になっている。


効率的市場仮説への疑問

――リーマンショックとファットテール

2008年のリーマンショックは、効率的市場仮説に対する大きな疑問を投げかけた。

問題点

  • 実際の市場では
    極端な暴落や急騰が、理論上の想定以上に頻繁に起こる
  • これは ファットテール(fat tail) と呼ばれる現象

この「ファットテール」とは、統計学や経済学などで使われる言葉で、確率分布の裾(テール)が厚く、極端な事象が「理論上も、実際にも」起こりやすい性質を指す。

正規分布を前提としたモデルでは、

想定不能な「異常事象」

が現実には繰り返し発生した。


行動ファイナンスの登場

こうした疑問に対し、補完的な理論として発展したのが 行動ファイナンス である。

基本的な主張

  • 市場参加者は必ずしも合理的ではない
  • 感情・認知バイアス・群集心理が判断を歪める
  • その結果、市場は一時的に非効率になる

この立場からは、

市場は不合理になり得る

と考えられる。


「市場の裏をかく」ことは可能か

行動ファイナンスの視点では、

  • 過剰反応
  • 恐怖や欲望
  • トレンドへの追随

といった 人間的な弱点 を利用すれば、

市場平均を上回る成果を得られる可能性がある

とされる。

ただし重要なのは、

  • それが 恒常的に可能か
  • 再現性があるか

という点であり、ここは今なお議論が続いている。


ユール・スルツキー効果とテクニカル分析

ここで興味深い概念が ユール・スルツキー効果 である。

ユール・スルツキー効果とは

ランダムな数値列に統計処理(移動平均など)を施すと、
見かけ上の周期性やトレンドが現れる現象

つまり、

  • 実際にはランダムなデータであっても
  • 人間は「意味のあるパターン」を見出してしまう

テクニカル分析との関係

この点から見ると、テクニカル分析は次のように解釈できる。

  • ❌ 必ずしも「価格の本質的予測」ではない
  • ⭕ 市場参加者の行動が集団的に反映された結果を捉えている

つまり、

テクニカル分析は
市場の心理構造を映す鏡
としては意味を持つ

が、

未来を機械的に予測できる魔法の道具ではない

という評価が妥当である。


結論:効率的市場仮説は「否定」されたのか?

結論として、

  • 効率的市場仮説は 完全に否定されたわけではない
  • しかし
    • 正規分布
    • 完全合理性
      という強い前提は修正を迫られている

現在の理解は、

市場は概ね効率的だが、
人間の非合理性により、
局所的・一時的な歪みが生じる

という、より現実的な立場に近づいている。


まとめ

  • 効率的市場仮説は現代金融理論の基盤
  • ランダムウォーク理論はその論理的帰結
  • リーマンショックは理論の限界を露呈させた
  • 行動ファイナンスは「不合理性」を補完する
  • テクニカル分析は心理の集積として理解すべき

・「経済学」の目次へ

-参考資料-
・田渕直也、『だからあなたは損をする 投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』、ダイヤモンド社、2015年

カテゴリ: 経済学 関連タグ:ノーベル経済学賞, ファットテール, ユージン・ファーマ, ユール・スルツキー効果, ランダムウォーク理論, 効率的市場仮説, 行動ファイナンス

最初のサイドバー

Footer

利用規約

プライバシーポリシー

お問い合わせ

© 2026 · Vita Otiosa – ヴィータ・オティオーサ | schole-otium スコレー・オーティウム