「元素」と「原子」を知らない人は、義務教育を終えていたなら、あまりいないと思うが、これらの違いについて説明しようとすると、なかなか簡単ではない。
「元素」と「原子」の違いは何だろうか。
今回は、「元素」と「原子」の違いについて説明する。
「元素」と「原子」の違い
例えば、水素は、「酸素(O)」と「水素(H)」という元素からできているが、1つの水素分子は、1つの酸素原子と2つの水素原子が結合してできたものだ。
だから、水素は H2O という化学式で表されるのである。
この例の場合、「酸素」や「水素」という要素そのものの種類が「元素」であり、それぞれの元素の物理的な個体が「原子」であるといえる。
つまり、「元素」は物質の素を指す概念的な言葉であり、「原子」は実際に物質を構成する実体を指す言葉である。
まとめると以下のようになる。
「元素」=種類、概念
「原子」=個体、実体
「元素」は種類を指すものであるから、H や O などは「元素記号」と呼ばれるのである。
そして、「元素」が種類や概念を示すものであるという理由から、「1つの水素分子は1つの酸素元素と2つの水素元素」からできている、とは言わない。この場合は、具体性を持つ「原子」という言葉が使われる。
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