スペイン語で「あなた」を意味する語には、主に2種類ある。
tú と usted だ。
tú と usted は、英語だと「you」と1つにまとめられるのだが、スペイン語では使い分けがなされる。
その使い分けのポイントは、「相手との関係」だ。
tú の意味と使い方
tú は、「トゥ」と発音され、u の上にアクセントが付くのが特徴だ。アクセントがないと、別の単語になってしまうので、注意が必要である。
さて、この tú だが、日本語ではしばしば「君」という風に説明されるように、「相手との関係が近い(親しい)場合」などに使うことができる。
関係が近い、つまり親しい、とは、例えば友達であったり、兄弟、それにクラスメートや会社の同僚など、立場的に同等で、年齢も離れていないなどが挙げられる。
Tú hablas muy bien español.
君はスペイン語を話すのがとても上手だね。
このように、親しい間柄で使われるため、tú は「親称」と呼ばれることもある。
usted の意味と使い方
usted は、そのまま素直に読むと「ウステド」としてしまいそうだが、「ウステ」もしくは「ウステー」という風に発音し、最後の d の音はほとんど(というかほぼ全く)発音しない。
この usted は、「あなた」という意味で使われ、初対面の人や公共の場など、フォーマルな場面で相手を示すために幅広く使える表現だ。
相手に敬意を示す場合に使われるため、「敬称」と呼ばれることもある。
tú と usted の文法上の違い
さて、上で述べたように、tú と usted は、「相手との関係性」によって区別されるものだ。
そして、これら tú と usted は、文法的にも異なる扱いを受ける。
tú と usted は、いずれも英語における you を示すもので、その意味としては、主語人称代名詞(主格人称代名詞)の2人称単数にあたるものだ。
しかし、usted の場合、文法上は3人称単数と同じ扱いを受ける。
つまり、usted が主語となる場合、3人称単数である él や ella などと同じように動詞が活用されるということだ。
¿De dónde es usted?
ご出身はどちらですか?
この例では、ser が3人称単数形である es に変化しているのが分かるだろう。