動詞には、「語幹母音変化動詞」というものがある。
その名前が示す通り、活用されると語幹の母音が変化する動詞のことだ。
この語幹母音変化動詞は、直接法現在だけでなく、接続法現在でも、活用されると語幹の母音が変化する。
ar動詞とer動詞の語幹母音変化は接続法現在と同じ
接続法でも語幹母音変化があると聞いて、うんざりする人もいるかもしれない。
しかし朗報(?)もあるので安心して欲しい。
ar動詞とer動詞では、接続法現在でも、語幹の母音の変化は、直接法現在のときと変わらないのだ。
直接法現在と異なるのは、語尾の変化だけである。(接続法現在の語尾の変化については「接続法現在の規則活用:ar動詞、er動詞、ir動詞」を参照。)
querer を例にとって見てみよう。なお、querer は、直接法現在において、語幹の e が ie に変化することを思い出されたい。
querer の接続法現在活用
quiera
quieras
quiera
queramos
queráis
quieran
どうだろうか。
語尾は、接続法現在の活用に従って変化しているが、語幹の母音自体は、直接法現在と変わらないのが分かるだろう。
このように、ar動詞とer動詞では、語幹母音変化動詞の語幹の母音の変化は、直接法と接続法とで変わらないのである。
しかし、問題は ir動詞である。
ir動詞の語幹母音変化は直接法と接続法で異なる
ir動詞で語幹の母音が変化するものについては、ある程度のパターンはあるが、直接法と接続法で異なるので注意が必要だ。
例えば、sentir のように、語幹母音 e が ie に変わるものについては、1人称複数と2人称複数で e が i に変化する。
sentir の接続法現在活用
sienta
sientas
sienta
sintamos
sintáis
sientan
このように、1人称複数(nosotros)と2人称複数(vosotros)で、e が i に変化する。
ar動詞やer動詞では、接続法現在において1人称複数と2人称複数の語幹は変化しなかったが、ir動詞ではしっかりと変化するわけである。
次は、語幹の母音が o から ue に変わる語幹母音変化動詞 dormir をみてみよう。
この場合、1人称複数と2人称複数では、o が u に変化する。
dormir の接続法現在活用
duerma
duermas
duerma
durmamos
durmáis
duerman
さらに、pedir では、全ての活用において、語幹母音の e が i に変化する。
pedir の接続法現在活用
pida
pidas
pida
pidamos
pidáis
pidan
pedir は、直接法現在では、1人称複数と2人称複数において語幹母音の e は i に変化しなかったが、接続法では、変化してしまうのだ。
このように、ar動詞とer動詞については、語幹母音の変化は、接続法現在と直接法現在とで同じなので、直接法現在さえ覚えてしまえばいいが、ir動詞については、上記のように異なるので、気を付けるようにしよう。
ただ、イレギュラーなのは、1人称と2人称の複数の部分だけなので、そのあたりを重点的に覚えればいいだろう。