スペイン語の発音は、日本人にとって比較的優しい部類に入る。
ほとんどの場合、スペイン語の文字はローマ字読みをすればよいので、日本人にとっては親しみやすいのだ。
ただ、それでもやはりつまづいてしまうこともある。
比較的躓きやすい文字として、Lが2つ続いた「ll」が挙げられる。
スペイン語の学習本などを開いていても、大体の場合「リャ行」や「ジャ行」、そして「ヤ行」の音で発音するように書いてある。
この曖昧さも、学習者がとまどう原因だろう。
そこで、今回は、「ll」の発音について、3つのポイントに絞って説明しよう。
ポイント①:「ジャ行」で発音する
ポイント②:本来は「リャ行」
ポイント③:「ジェイスモ(イェイスモ)」について
それぞれ詳しく説明しよう。
ポイント①:「ジャ行」で発音する
一体どのように発音すれば良いか迷ったら、とりあえず「ジャ行」で発音することをお勧めする。
例えば、llave(鍵)であれば、「ジャベ」と発音しよう。
特にスペイン人の多くの人が「ジャ行」で発音するし、何より日本人にとって言いやすいと思うからだ。
ただし、これは「リャ行」や「ヤ行」での発音が間違いという意味ではない。地域によっては、「リャ行」を使う場所も残っている。
それでも、スペインのマドリードを始め、多くのスペイン人は「ジャ行」で話すようだ。(カタルーニャ地方ではその限りではないようだが…。)
これも、スペイン語の多様性の一面であると言える。
ポイント②:本来は「リャ行」
スペイン語の「ll」は、本来「ʎ」と発音される文字だ。
「ʎ」は、日本語の「リャ行」の音に近い音である。
上述では、「ジャ行」を使うようにおすすめしたが、本来の正統な発音は「リャ行」である。
現在でもこの「リャ行」のみで発音する地域も存在する。
このことだけは覚えておこう。
ポイント③:「ジェイスモ(イェイスモ)」について
上述のとおり、「ll」は本来は「リャ行」で発音する文字であった。
しかし、この音も時代の変遷やスペイン語の広範な言語使用地域の影響により、「ヤ行」に近い音であったり、「ジャ行」に近い音で発音されるようになった。
このことを「ジェイスモ(yeísmo)」もしくは「イェイスモ」という。
まあ、このポイント③については、知らなくても問題ないけれど、結局のところ、日本に出回っているスペイン語の学習書で「ll」の発音についての説明が曖昧なのは、こういうところに原因があるのだと思われる。