昔は女性は選挙に参加できなかった 日本の選挙

昔、日本では、女性に参政権が無かった。

つまり、女性は、選挙に参加することができなかったのである。参政権を持っていたのは、男性だけであった。

しかも、男性であれば誰でも選挙に参加できたのか、というと、そういうわけでもなく、ある一定額以上の税金を納めている人だけに限られていたのだ。

現代の日本の選挙制度からすると、様々な制約があったわけだね。

様々な制約を課す「制限選挙」とは

上述のように、昔の日本では、一定額の納税をしている男性だけに選挙権が与えられた。

このように、年齢以外の制限が加えられる選挙を「制限選挙」と呼ぶ。

現在の日本は、少なくとも法律上では男女平等だけれど、昔の日本では、法律上でも女性に参政権が与えられないなどの不平等があったわけだね。

また、税金をいっぱい納めていないと、選挙に参加できなかった。貴賤による不平等もあったわけだ。

このように、昔の日本では、選挙権に制限が加えられていたのだが、その前には国民に参政権すら与えられていなかったことを考えると、当時としてはかなり国民の権利が向上した感覚ではなかったのだろうか。

また、現代の日本は、こういった制限は無くなっているけれど、世界を見渡せば、例えば中東など、まだ参政権に様々な制約が存在する国もある。

選挙権は、決して当たり前に存在する権利ではないのだ。

日本で最初に選挙が行われたのはいつ?

日本で最初に行われた国政選挙は、1890年のこと。明治23年だ。大日本帝国憲法が制定された翌年ということになる。

当時、日本の選挙は、上で述べたのように制限選挙だったから、選挙権が与えられたのは、直接税を15円納めた25歳以上の男性に限られていた。

この条件に当てはまったのは、当時の人口の約1%程度であったという。

「自由民権運動」とは何か?日本における民主化

日本で社会や歴史を学んだことがある人なら、近代史において出てくる「自由民権運動」という用語は聞いたことがあるはずだ。

それだけ有名な用語なのだが、その中身は?と聞かれると、ちゃんと答えられる人は少ないのではないだろうか。

自由民権運動について、要点をおさらいしてみよう。

自由民権運動の目的とは

自由民権運動は、板垣退助らによって行われた運動だ。

1874年、板垣退助が国会設立の意見書を明治政府に提出した。

これは、「民撰議院設立建白書」と呼ばれるもので、その名の通り、国民が選んだ議員による議会を設立することを主張するものだ。

この意見書を発端として、自由民権運動が始まった。

自由民権運動の目的は、それまで官僚によって行われていた政治を国民によって選ばれた議員が行うようにすること。

つまり、国民に参政権を与えることだ。

もちろん、そんなことを時の政府がすんなりと受諾するはずもなく、色々と弾圧などもあった。

だが、紆余曲折を経て、1889年、ついに大日本帝国憲法が制定されるに至った。明治22年のことである。

日本には憲法がなかった?

実は、自由民権運動が行われるまで、明治政府には憲法が存在しなかった。

現在の感覚からすれば驚きである。

ここで、明治政府の成り立ちについて少し見てみよう。

明治政府は、1867年の大政奉還によって政権が朝廷に返上されたことにより誕生した。

江戸幕府の最後の将軍、徳川慶喜が朝廷に政権を返したのである。

つまり、政治の主体が幕府から朝廷に移されたことにより、明治政府は誕生したのだ。

しかし、そのころ、憲法がなかった日本は、欧米各国との交渉で不利になった。そういうこともあり、憲法を作ろうという機運が高まったようだ。

1871年には、岩倉使節団が欧米に派遣され、憲法の研究が行われるようになった。

その研究の最中に、国民によって政治を行うべきではないか、という考えが生まれるようになったようだ。これが、自由民権運動へとつながっていく。

つまり、欧米の憲法を調査するうちに、国民を有権者にするという思想が生まれ、その思想により自由民権運動が起こり、大日本帝国憲法が制定されるに至ったということ。

これにより、明治政府は憲法を持つに至ったわけだ。

参考資料:
池上彰、『政治のことよくわからないまま社会人になった人へ』、海竜社、2014年2月28日

直接民主制と間接民主制の違いとは

民主制とは、国民が政治を行う体制である。(⇒民主制と独裁制、君主制の違いとは

その民主制には、「直接民主制」と「間接民主制」がある。

それでは、この直接民主制と間接民主制との違いとは何であろうか

直接民主制とは

直接民主制とは、国民一人一人が、直接政治における意思決定に参加する政治形態だ。

つまり、学校などで生徒全員で話し合うように、国民全員が集まって議論する。

しかし、この形態は、領土や社会が広くなり、人口が増えると、この体制では対処できなくなった。

そこで生まれたのが、間接民主制である。

間接民主制とは

間接民主制とは、国民が代表者を選らび、その代表者が意思決定を行うという形態だ。

現在の民主主義国家は、ほとんどがこの形態を採用している。

国民によって選ばれた代表者を「代議員」と呼び、そのため間接民主制のことを「代議制」と呼ぶこともある。

 

つまり、法律や政策を決定する際に、国民がみずから直接その意思決定に関わる体制のことを「直接民主制」と呼び、国民が代議員を通じて間接的に意思決定に関わる体制のことを「間接民主制」と呼ぶわけだ。

民主制と独裁制、君主制の違いとは

政治体制として、しばしば「民主制」と「独裁制」とが対比される。

また、「君主制」という言葉もよく聞かれる。

これらの制度の違いとは何だろうか。

民主制とは

民主制は、民主主義の理念によって行われる政治体制のこと。

「民主」という言葉からも分かるように、「国民」が「主体」となって政治を行う体制のことだ。

民主制は、さらに「直接民主制」と「間接民主制」とに区別されるが、現代においては、主に「間接民主制」が採用される。

詳しくは、直接民主制と間接民主制の違いとはを参照していただきたい。

独裁制とは

独裁制は、特定の個人や団体などが主体となって政治を行う体制のことを指す。

 

つまり、「民主制」と「独裁制」の違いとは、主権が「国民」にあるのか、それとも「特定の人」に集中しているのか、ということになる。

君主制とは

「君主制」も、独裁制と似たようなものだが、権利が特定の1人に集中する政治体制だ。

その権利が集中した特定の1人を「君主」と呼ぶ。

現代社会においては、「君主制」として扱われる国家はまれである。